忘れられないあの夏の現場

過去を掘り返して語るヲタクが一番私の苦手とする人達だし、色々なアクシデントによって、実際に起きたこと以上にこの公演を良かったものとして見ている気もしてあまり語ることをしてこなかったのだけど、それでもやっぱりあの夏を越す夏にまだ私は出逢えていなくて。それが悔しくて、でも思い出す度に物凄く幸せになれて。そんな公演もう二度と見れない気がするから、ここに自分の言葉で残しておきたいと思う。そして後々少しだけ話すけれど、NEWSの秩父宮=パーナ事件みたいになっているのが本当に悔しくて仕方が無い。そんな事件ばかり語り継がないで、振替公演自体を知って欲しいし見てほしいし語り継いでほしい。最強で最高のライブはそこにあった。もう悲劇のNEWSじゃないよ。幸せを作ってくれるNEWSだよ。そんな気持ちを込めてブログを書こうと思う。

 

2012年、私の好きなNEWSというアイドルグループが4人になって初めてのコンサートのステージとして、秩父宮ラグビー場を選んだ。野外は気持ちいいねと微笑む4人は最高に輝いていて、この会場が気に入ったのだろうなぁとも思ったし、ファンとして参加していた私もこれから先この会場が特別な場所になるのだろうと思った。

それから1年後の2013年、彼らはまたその場所を東京公演の会場として選んだ。しかし神様はいつまでもNEWSに厳しい。2日間予定されていた公演の2日目、大雨・台風・雷雨とそこらじゅうの自然災害ひっくるめて全部持ってきたかのような悪天候に見舞われ、何かあっては困るということで、「公演中止」を選択することになった。そして翌日、その中止した公演のやり直し公演というべきか、振替公演を同じく秩父宮ラグビー場で行うことになった。この幻の3日目が、私の忘れられないライブである。

 

2日目の公演中止は、NEWSの口から知らされた。「雨だけなら頑張りたくて晴れることを願いながら続けたけれど、雷まで始まってしまったし、みんなの体調や安全を考慮してもう止めるしかない。本当にごめん。本当にごめんね」そう言いながら、4人は雨に打たれたまま、いつまでもファンに謝り続けた。あの強気そうな手越祐也が土下座をするかのように地面に崩れた。メンバー皆、ごめん、ごめん、と何度も頭を下げて、気をつけて帰ってねと心配そうな顔で会場を後にするファンを見送った。4人ともずっとファンの顔を焼き付けるように、そしてもうこのツアーに来られないファンに自分の顔を見てもらうかのように、ゆっくりとファンの方を見ながら花道をグルグル周り、ごめん、ごめん、と。私は決して謝る4人が見たかったわけではないし、崩れ落ちる手越祐也を見たかったわけでもない。手越祐也の崩れ落ちる姿なんて、アイドルを好きになってから見た光景の中で一番辛く直視できないものだった。規制退場は後半。どんなに苦しくても自分の番が来るまで逃げることは出来ない。雨から守ってくれる屋根がないアリーナ席にいた私の周りでは、公演中止のショックもあってか何人か人が倒れていった。翌日振替公演を行うと発表され、安心するファンもいれば泣き崩れるファンもいる。雨にうたれながら号泣し低体温症や過呼吸になって倒れていく女の子たちを見ているのはとても辛く、しかし看護の知識も何も無いまだ10代半ばの私にはただただその光景を見て苦しいと感じることしか出来なかった。好きな人がアイドルとして輝く姿を自然災害というどうしようもない理由で最後まで見ることができないということは、年に1度のツアーを楽しみに毎日頑張っているファンにとってとても苦しいことだろう。「明日またやるなんて言われても来れない子もいるよね。本当に申し訳ない。でも明日来てくれた子には絶対に最高のものを見せるから。絶対にチケット捨てちゃダメだよ。びしょびしょになったやつでも文字が消えててもいいから絶対持っててね。」と苦しそうな顔でメンバーが言っていたこと、そしてあの日に聞いた何台何十台という救急車のサイレンをこの間のことのように思い出す。

また、その夜にはパーナ事件というものも起きた。これに関しては調べてもらえればわかると思うのでここで話すのはやめるが、あの場にいた側として発言するならば、あの事件を起こして大きな出来事にしたのはあそこにいたファンではなく、ツイッターで騒ぎ立てた人達だったと思う。だからなんだという話なのだが、ツイッターって怖いなぁと初めて実感した出来事がこのパーナ事件だった。

そんなこともあり、翌日の振替公演が始まるまでは、コンサート前は今までで一番不安があった。NEWSはいつもファンの事を「俺らのファンは本当によく出来た子達でそんなみんなの事が誇りなんだ」と言ってくれていたから、あぁ失望させてしまっただろうなぁ、きっと心配してくれているのだろうなぁ、笑ってステージに立ってくれるかなぁ等と私が悩んでもどうしようもないことで悩み、勝手に辛い思いをしていた気がする。開演まであと数分…コンサートが始まる少し前になっても埋まらない席があった。ファン全員がその事には気付いていた。来られなかった子達がいる。みんな苦しかったと思うけれど、その気持ちは声に変わった。コンサート前の映像も、NEWSが出てきた時も、あの公演の様子はDVDにもなっていないのでどんなものだったか見せることが出来ないのが残念だけれど、本当に、過去一揃った、そして過去一大きな歓声だった。ファンの声に鳥肌が立つ時が来るなんて。登場したNEWSはみんな顔が強ばっていて、きっとここまで不安だったのだろうなぁというのが伝わってくるような表情だったように思うけれど、ほぼほぼ埋まった客席を見て、4人はとても嬉しそうに笑った。その笑顔が嬉しくて、来られなかった人の分までこの瞬間を楽しもうとファンは声を出し、コンサートを楽しむ。その時、4人で復活したあの公演以上に、あぁNEWSとNEWSファンはとてもいい関係性だ、と感じた。ファンがアイドルを支えられる瞬間ってきちんとあるのだなと、私達がこの公演を楽しむことで、そして楽しんでるよと4人に伝えることで、NEWSはきっと昨日より少し楽になれるのだろうなと。いつもなら「ただいま!」と叫ぶ加藤シゲアキさんだが、その日はファンに向かって「おかえり!」と叫ぶ。加藤シゲアキさんのそういうところが格好良いんだよなぁなんて思いながら、みんな、涙目になりつつも精一杯の声で「ただいま!」と返した。3日目なんて本当はなかった方が良かった。何事もなく2日で終わらせるべきだった。おかえりなんて言わせてはいけなかった。それでも再び秩父宮ラグビー場に来ることになってしまった、でもだからこそ絶対にNEWSのライブをいいものにしてやる。そんな気持ちの入った、ファンからのただいまだったように聞こえた。こういうちょっとしたやり取りですら今になっても忘れられないくらい、あの日のNEWSとファンは特別で、ファンが言うなという話ではあるし自分で言っていて気持ち悪いけれど、4人とファンは確かに付き合っていたし世界一ラブラブだった(真顔)間違いない(真顔)メンバーが「俺ら話してたんだ、もしファンの子が全然来ていなくても頑張ろうって。来てくれた子をしっかり楽しませなきゃって。なのにこんなに来てくれた。NEWSのファン最高だね!」って話してくれたように、私もNEWSのファン最高だなと思ったし、きっと会場にいた他のファンの人もNEWSファン最高だなと思いながらあのライブに参加していたと思う。同担拒否とかいう言葉があるしジャニヲタ同士ってギスギスしてそうだよねとかよく言われるけれど、そして実際にそういう事がある現場も見てきたけれど、でもあの日私の見たジャニヲタは皆敵同士なんかじゃなくて、NEWSのためにあの公演を成功させたい、そのために皆で頑張ろうよ!と思って頑張れる、素敵な女の子達だった。

NEWSは女の子の輝かせ方を知っている。これはこの公演を経験してというよりファン人生を通して痛感していることだけれど、NEWSは本当にうまく女の子をコロコロと転がす。皆、手のひらで転がされていることには気付いていながらも、つい、4人の王子様にころころされるなら…♡とその状況を楽しむようになる。「みんな本当に可愛いね」とNEWSが言うから、ファンは頑張って化粧をする。「みんな今日は俺らのためにおしゃれしてきてくれたんだよね?ありがとう、可愛いよ」とNEWSが言うから、ファンは精一杯のおしゃれをする。「よくいろんな人にNEWSのファンは素敵な子が多いですね〜って言われるから、そうなんです♡って返事してる。みんないい子だもんね」とNEWSが言うから、ファンみんないい子であろうとマナーを守る。おそらく、アイドルがファンにこうして下さいと叫ぶよりも褒めた方が効果的だから〜という思考ではないと思う。NEWSは本心でそう言ってくれている。そんな風に私が思い込めるほど、NEWSはファンと向き合う時間を大切にしてくれるし、本気の言葉をくれる(ように思う)。だから、「ラブラブしよう」「愛し合っていこう」「ハニー」「ファンは彼女」だなんて外野から見たらNEWSやべぇwwwと草を生やされそうな台詞も、彼らは本気で言ってくれるし私達も本気で受け取っている。もちろんもう20年以上生きているのでいくら頭がお花畑だとは言え本当に彼女になったとは思っていないけれど、でも、あの瞬間だけは、ライブの3時間だけは、本当に私愛されてるなと思えるのがNEWSのライブだ。多幸感がすごい。

そしてファンも凄い。私はNEWSのファンが大好きなのだけれど、NEWSのファンはいつでも熱い。そしていい子だ。自分だけが目立ってやろうという思考のファンが本当に少ない。少ないというか4人になってからのNEWSの現場で私はまだ見たことがない。NEWSが一生懸命この公演を作り上げてきたのがわかるから、パフォーマンスや言葉からそれが痛いほど伝わってくるから、絶対に私達がその努力を壊してはいけないと思っているし、NEWSの大切なステージを成功で終わらせたいと誰よりも願う。自分が自分が!とならずに好きな人の成功を願いそのために頑張れる女の子ってもう可愛すぎるでしょう。NEWSに育ててもらった女の子たちは、いつも輝いていて幸せそうだ。いつだってNEWSを愛していて、NEWSからの言葉に素直に喜んだり照れたりしながら4人を応援する。いい関係性だなぁと、いつも会場の女の子を見て私は嬉しくなるんだ。この日においては会場に行けない地方のファンや、既に1日目入っていて2日目はお留守番だったファンも、いつも以上に熱かった。自分は入らない現場なのに、自分だって入りたいはずなのに「どんなに昨日のことが苦しくて忘れられなくても朝ごはんはちゃんと食べるんだよ、カッパ忘れちゃだめだよ、風邪引かないようにちゃんとタオルとか持ってね、しっかり4人に幸せにしてもらってきてね」と皆が連絡をくれた。会場にいたファンだけではなく、全国のファンが成功を願った、そんなライブだった気がする。

7月28日の振替公演は、本当にそのNEWSとNEWSファンのいいところが凝縮されたような公演だった。同じセットリストで同じ衣装で同じ演出でも、ファンの努力でこんなにも一体感のある最高を越す公演がうまれるものなんだって、初めて気付いた日だったように思う。もちろんその他の公演も最高に楽しくて4人は最高の彼氏(ごめんなさい)なのだけど、あの日は本当に素晴らしかったんだ。

NEWSのライブって楽しいって聞くけどどうなの?とよく周りから言われることがあって、なんて答えるべきかなぁとずっと悩んでいたのだけど、この前のツアーの申し込み前にこんな返事をした。「勿論楽しいけれど、楽しいというより、きっと今までNEWSを知らなかったことを悔しいと思うようになると思うよ。このイチャイチャしている空間に100%入りきれない自分に悔しくなるはず。それくらい今のNEWS、いいよ。」その言葉を聞いてふぅ〜ん(笑)という反応だった友人からコンサート後に「私もNEWSに幸せにしてもらいたいと思った。すぐにファンクラブ入る。NEWSの彼女になる!」と連絡が来た時、彼らの作る幸せのパワーって凄いなと思った。普段ライブの感想として語られる格好良かったとか歌が良かったとかではなく「私も幸せになりたいと思った」という感想を引き出せるのは、今のNEWSのライブでの強みだと思っている。4人の作り出すステージは本当に愛に溢れていて、強くて、幸せだ。

 

2013年7月28日。4人になって2度目のツアー、まだグループとしては始まったばかりだった。そんな4人が魅せてくれたあのステージは、NEWSとNEWSファンだからこそできた、世界で一番愛に溢れた現場だったように思う。自惚れだと言われてしまうかもしれないけれど、私は迷うことなくそう思う。毎年7月28日が来る度に私はあの公演を思い出し、そして今の輝く4人を見て、好きになれて良かったと幸せになるのだろう。自然災害などコンサートツアー中に起こらない方がいい。そんなことは当たり前なことだけれど、私はあの公演を見たからこそ、余計にずっと彼らから離れられないし、これからもきっと彼らを好きでいるのだと思う。4人のことも、その4人を愛するファンのことも、私はあの時から、それまで以上に大好きだ。